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心臓電気デバイスってなに?

 循環器の専門医で、これまで総合病院でペースメーカーをはじめとする心臓電気デバイスの植込み手術や専門的な管理を行ってきた林田啓医師が、心臓電気デバイスとはどんなものかについてご説明します。

 正常な心臓は電気信号によって規則正しく動いています。しかし、脈が極端に遅くなったり、不規則になったりすると、めまい・息切れ・失神などの症状が起こることがあります。そのような状態を改善するために使用されるのが「心臓電気デバイス」です。代表的なものには、ペースメーカー(PM)、植込み型除細動器(ICD)、心臓再同期療法(CRT)があります。

<電気デバイスの種類>

■ ペースメーカー(PM)

脈が遅くなる「徐脈」を改善するための装置です。心臓内に細いリード(電線)を入れ、胸の皮膚の下に小さな本体を植え込みます。異常に脈が遅くなった時だけ電気刺激を送り、脈を整えます。植え込み後は、日常生活のほとんどが通常どおり可能で、入浴や運動も問題ありません。電池寿命は約10年で、交換は比較的短時間の手術で行えます。
最近では、リードを持たないカプセル型のリードレスペースメーカーという機械も登場しています。

■ 植込み型除細動器(ICD)

命にかかわる重症の不整脈(心室頻拍・心室細動)を治療する装置です。危険な不整脈を感知すると、まずは細かい刺激を送って脈の正常化を試み、それでも改善しない場合は電気ショックを与えて命を守ります。日常生活制限は少ないものの、車の運転などは一定期間の制限が必要です。

■ 心臓再同期療法(CRT)

心不全の患者さんの中には、心臓の動きのタイミングがずれてしまう「心室内伝導障害」を持つ方がいます。心臓再同期療法は右心室と左心室を同時に刺激して動かすことで、心臓が血液を送り出す能力を改善させる治療です。息切れや疲れやすさが改善し、入院回数の減少も期待できます。

<植込み後のフォローアップ>

 どのデバイスも、植込み後の 定期的なチェックがとても大切です。機械にトラブルが起きることは決して多くありませんが、なにかあったときにすぐに対応できるかどうかはとても重要なことです。当院では、対面での機器チェックに加え、患者さんの自宅から通信で状態を確認する「遠隔モニタリング」にも対応しています。体内でのリードの状態や電池残量、不整脈の発生などを確認し、異常があれば総合病院と連携しすぐに対応いたします。

<生活上の注意点>

● 電気自動車の急速充電・マッサージ機・電気風呂などの、電圧の高い機器や振動がある機器は使用を控える

● 医療機器や磁気の強い装置(MRI検査)には特別な対応が必要

● 植え込みをしてすぐは手術側の腕を大きく動かす運動を控える(その後は可能)

● 体調の変化があるとき、除細動器を植え込んでいる方が電気ショックを受けた感覚があったときは早めに相談

 

 心臓電気デバイスは、不整脈や心不全の治療において大きな役割を果たしています。気になる症状がある場合や、現在植え込まれている機械について不安があれば、どうぞお気軽にご相談くださいね。

林田医院

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